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乳児期の運動発達がカギ~鉛筆が正しく持てるようになるために~
2019年2月20日 6:00 PM カテゴリー: 【コラム】Stars Smiley Spirits
こんにちは、Stars Smiley代表の村田綾子です。
暖かくなる日が増えてきて、春のいぶきを感じるようになってきました。幼稚園に入園される場合は、入園説明会や入園準備がはじまり、親子ともどもソワソワしている頃ではないでしょうか。
さて今日は、正しい鉛筆の持ち方と、乳児からの運動機能のかかわりについてのお話です。実は、鉛筆が正しく持てるようになるには、乳児期の運動発達がとても重要です。
発達の特性として、ヴィンセントらによる「発達の方向性」という概念があります。
頭部から腰部、さらに下肢部へと進行する方向と、肩、腕、肘、手首、拳、指というように、中心部から周辺部へと発達の進む方向があります。つまり、心臓から遠く離れた部位が最後に発達過程に到達するということになります。「つかむ」動きを繰り返し、手指の運動を
近年の便利な道具に囲まれた生活では、物をつかむ必要性が減り、「つかむ」行為すら減っています。 だから親御さんは、あえて「つかむ」機会を、赤ちゃんに与えてみましょう。
たとえば、
- 物をつかみ始めるころは、ガーゼでできたぬいぐるみなどを持たせる
- 少し重いものを持てるようになるころには、ぎゅっと握る必要のあるガラガラを
- 引っ張る力が必要なメリーや引っ張るおもちゃのついたプレイマットなどは、「つかむ」力を付けるのに良い遊び道具です
- おすわりからよちよち歩きの頃は、小さなボールを穴に落とす、ということを繰り返す遊びを好みます
- 段ボールに穴を開け、ボールを落としたり、穴からハンカチのような布が引っ張ると出てくるだけでも喜びます。手作りのおもちゃは、味わいやあたたかみがあって良いですね
- ペットボトルのふたをつけたり外したり、という動きは、ボタンをつける動きにつながります
- ペットボトルを両手でねじる動きは、縄跳びの縄をつかむ動きの基本となります
- 密閉容器のシール状のふたの開け閉め、洗濯バサミを開いて紙を挟む動きは、指の力をつけます
大きな動きから小さな動きへ
人の身体は、まずは大きな筋肉を動かし、発達とともに、末端の筋肉までコントロールして動かせるようになってくるものです。
そこで、肩回りの筋肉を使い、大きく腕を動かすことで、小さな筋肉を動かす力をつけていきます。簡単なものから徐々に細かいものへ。段階を積み重ねていくことが大事です。
〇クレヨンでお絵描き
クレヨンなどを使って絵を描く場合、私は、大きな紙を使うことをおすすめしています。可能であれば、模造紙くらいの大きさの紙を床に置いたり壁に張ったりし、そこに大きく描きます。
〇ハサミの使い方
2歳になると、ハサミを使って紙を切ることができるようになってきます。形や大きさを気にせずに、最初はとにかく自由に切らせてみましょう。
〇ボタンの練習
ボタンは、大きなものから練習していきましょう。パジャマの場合、ひとつひとつのホールの糸とボタンが同じ色になっていると、お子さまも組み合わせが分かりやすいと思います。子どもの「敏感期」をキャッチして
さて、いよいよ鉛筆の持ち方です。お子さまの「今やりたい」という思いをキャッチして鉛筆を持たせてください。
1、2歳のころはグーで握っていても良いのですが、字を書くためには、正しい持ち方が必要になります。まず人差指と親指で丸を作り、先を上に向けた鉛筆を人差指と親指で挟みます。指の輪の中を通して鉛筆の先を下に向け、中指を添えます。
字の練習は、お子さまが「字」に興味、関心をもった時がはじめ時です。本を読んだり、街の中で看板などを見たりした時に、「同じ形」「同じ字」などと発見するようになったら、その発見を喜び、一緒に「字」への関心を広げていきましょう。
字は丸やとめ、はねなどの組み合わせです。字そのものを練習する前に、円や直線、曲がった線などをなぞって書く練習からはじめます。就学前に「きちんと正しい字を教えないと」と、形を直そうとしたり、鏡文字を直そうとしてしまうと、お子さまの中に、字を書くことへの嫌悪感が生まれてしまうこともあります。
幼児教育者マリア・モンテッソーリは、「敏感期」という言葉を大事にしました。モンテッソーリによると、「敏感期」とは、生物がよりよく生きるために自然が用意した仕組みのこと。この時期に生物はある要素に対して強烈な感受性をもちます。人間のもついくつかの敏感期のほとんどは、0~6歳に集中しているとされています。
お子さまをよく観察し、お子さまの「敏感期」をキャッチしてあげてください。そうして、お子さまの発達を支えてあげてくださいね。
★★★「Stars Smiley Spirits」バックナンバーも、ぜひご覧ください★★★
★1 かけっこの基本とは!? Stars Smiley流かけっこ教室のポイント。
★2 スキンシップの重要性。運動習慣は、生まれたときから。
★3 ボールひとつで無限大! 乳児期からはじめられる「家庭でできる運動あそび」のススメ!
★4 運動能力は、遺伝ではありません。
★5 はだしで遊ぼう! 五感の刺激で創造性豊かに。
日本女子体育大学卒業大学卒業後、テーマパークでシンガー・ダンサーで活躍。未就園児の親子体操「ベビーチア」発案。日本チアダンス協会インストラクター、USAチアダンス協会インストラクター3級、幼児体育協会インストラター、新浦安RAINBOW SMILEY、幕張インターナショナル、スクール「Dolphins」、たまプラーザStars Smiley、恵比寿Stars Smiley、デイレクター兼チーフインストラクター 現在、チアダンス・ベビーチア、幼児体操、障がい児体操、スポーツの家庭教師、インストラクターとして活動。